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MeetingBase Stories
20XX年。顔を合わせずに匿名で自由に発言できるこの世界では、お互いを思いやることのできない生活をいとも簡単に作り出してしまいました。意見の些細なズレで人々は互いに憎み合い、争いが絶えることはありません。
小さな争いはやがて大きな渦となり、これまで作り上げた街を一瞬で消してしまうほど恐ろしいものでした。
やがて、この街から人々はいなくなり、焼け野原の焦げた匂いだけが残りました。
その200年後。
高層ビルは朽ち果て、喧騒が消えた静かな荒地に、俯きながら歩く一匹のオオカミの姿がありました。周りを見渡すわけでもなく、ただ真っ直ぐに突き進んでいるのです。
そこでふと目が止まったのが、赤い小さな生き物。
弱っているのか、触っても動きません。
孤独なオオカミは、この子を助けたい一心で、服であたため食糧を与えます。
目を覚ますと、元気に食糧を食べ、動けるようになりました。
オオカミが旅立とうとすると、恐竜の赤ちゃんが離れません。
この物語は、孤独なオオカミが弱った恐竜の赤ちゃんと一緒に暮らす決意をしたところからはじまります。